箸にまつわる禁忌、あなたはいくつ知っていますか?

箸には魂が宿っている?

先日、家で食事をしていたら、箸が前触れもなく片方ポキッっと半分に折れました。
あまりに突然でびっくりしたのと同時に、出てきた言葉が「縁起が悪い」。

同じ生活日常品である食器が割れたり、衣服が破れたりしてもさほど気にはならないのに、箸にはなぜか敏感に反応してしまいます。

世代によっては、「箸を少しでも使うと箸に魂が宿るから、お弁当などの割りばしは使ったら半分に折って、魂を自分に戻すのが作法」という方々もいます。

また、8月4日を箸の日として、古い箸の供養のためのお焚き上げをする神社もあるそうです。

箸にちなんだことわざも多く、日本は箸の国なんだなあと改めて思います。

日本人は生後間もない時期に行う「箸揃え」の儀式に始まり、死後、火葬後の骨となったときに行う「箸渡し」でその生涯を閉じます。

そんな日本人の一生に切っても切り離せない「箸」。

そんな身近なものだからこそ、わかっていると思いがちな「箸のマナー」。
あなたは箸にまつわる禁忌事項が80近くあることを知っていますか?

最近では、箸のマナーについて、子供に教えられない親世代が増えてきたともいわれ、大人でも箸使いが疎かになっているのをよく見かけます。

今回はその「箸」について、日本人に身近なものであるからこそ、当たり前に考えずに、改めて何のためのものなのかを考えていきたいと思います。

箸の歴史

お箸は古来より、「片方は神様のもの、もう片方が人のもの」という話もあるように、人と神様を結ぶ縁起物とされてきました。

箸の語源として「あちら側(神)とこちら側(人)を結ぶ橋」「神が宿る柱」という説もあり、とても大切なものとしてとらえられていたようです。

そもそも箸を最初に採用したのは、聖徳太子だといわれていますが、古事記や日本書記にも箸にまつわる記述があるとされ、日本における箸の歴史はとても古いものがうかがいしれます。

もともとは、祭器として祭祀・儀式で神に食物を捧げる道具として使われていたようで、神霊が宿るとされる霊木が新たに伐られ、神箸に使われました。

その「神様」と「天皇」だけが使っていた箸をその後貴族が使うようになり、庶民の器として発展し、現在に至ります。

今でも正月・祝儀の日などお祝い事の食事において、特別に用意した「祝い箸」を使う習慣が残っているのは、箸に「神箸」としての意味があることを物語っています。

そして、明治時代から昭和初期においては、箸は「子供のしつけ」の代表としてもとらえれていました。

食べることが貴重であるからこそ、全てに感謝して食べ物を「いただく」とともに、食べ物を「いただく」際に使う箸使いを重要視するようになったのです。

近年においては、スプーンやフォークが多様され、箸使いについてのしつけができない親世代が増えてきました。

昔ほど、箸のあれこれについて語れる人が減ってきているからこそ、世代や家庭環境によって、箸のタブーが人によって異なってしまっています。

良かれと思ってやっていたことが実はマナー違反だった。
そんなことがないように、今一度箸にまつわる禁忌事項を見直してみたいですね。

箸にまつわる禁忌事項

・逆さ箸:取り箸を使わずに自分の箸を逆さにして使うこと
・手皿:箸で食べ物を口に持ってくるとき、手のひらをお皿のようにすること
・あげ箸:口より上に箸をあげること
・込み箸:口の中いっぱいに料理を箸でつめこんでほおばること
・渡し箸:食事の途中で箸を食器の上に置くこと
・かき箸:食器の縁に口を当てて料理をかき込むこと
・受け箸:箸を持ったままおかわりすること
・箸渡し:箸で挟んだ食べ物を、箸と箸でやり取りすること
・刺し箸:箸を食べ物に突き刺して食べること
・ねぶり箸:箸についたものを口でなめること
・叩き箸:箸同士を太鼓のバチのように叩くこと
・移り箸:いったん取りかけてから、ほかの料理に箸を移すこと
・探り箸:料理をかき混ぜて中身を探ること
・寄せ箸:食器を箸で手前に引き寄せること
・指し箸:箸で人を指すこと
・握り箸:箸を持った手で他の食器を持つこと
・空箸:箸を一度料理につけておきながら、食べないで箸をおくこと
・迷い箸:何を食べようか箸をうろうろさせること
・涙箸:箸をつまんだ料理から汁を滴らせること

これ以外にもまだまだあります。
その数は80近くあると言われています。すごい数ですよね。

また、行儀のよい立ち振る舞いに思っていたことがタブーだったなんてものも中にはあったのではないでしょうか?

まとめ

箸にまつわる禁忌事項にはすべてその由来・意味があります。

それは他者に不快な思いをさせないという日本人らしい理由がほとんどで、今の時代にそぐわないのでは?というものももちろんありますが、基本的には食事や食事の場所に感謝していただくという精神のもとに考えられたものばかりです。

更に、箸は食べ物をいただくことで自分の命をつなぐ「命のかけ橋」であり、その貴重な道具に思いを込めていただくということは、子供にも伝えたい大事な食育であるともいえます。

自分を大切にするために、食べ物の命をいただく。
命をいただくためにその道具やその場所を大切に扱う。

細かいマナーをいちいち言うのではなく、食べるという行為や空間について、大切に丁寧に考えてみるだけでも箸使いが変わってくるのかもしれません。

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