【開催レポート】第2回:奈良薬師寺・松久保師に直接教えを乞う「仏教」とは何か?

仏教ゼミ第2回 2017年11月22日(水)開催

仏教について本気でがつんと学ぶ5カ月間の仏教ゼミ第2回目を先日開催いたしました。
プロの噺家さんを思わせる松久保師のテンポよい語り口調で、場を和ませながら、本編がスタートしました。

今回も、冒頭に参加者全員で般若心経を唱えました。お経は、ベテランのお坊さんであっても、必ず目にして読み上げるとのことです。それを「読誦(どくじゅ)」と呼ぶそうです。

お経に振ってあるふりがなを読み上げることに必死でしたが、読み終わった後は、今回も場の空気が整うのを感じました。ここから、2時間ぶっ通し、松久保師のペースに巻き込まれるまま、最後まで飽きることなく、仏教の知らない側面を学ぶことができました。

知っているようで知らないお釈迦様の生い立ち

以下写真は、お釈迦様が出家した35才頃の姿と言われているそうです。お釈迦様は、元々王家に生まれた王子様、いわゆるプリンスであった。王様になることが決められていたが、自分は、修行をしたい、悟りを得たいとのことで、28才で妻子など家族やすべてを捨て出家したとのことです。

松久保師は、女性の立場から見たら、ただの家庭生活破綻者であったのではないかと。悟ったからよかったものの、悟らなければどうなっていただろうと(笑)。また、「出家」という字は、逆さにしたら「家出」と読むなど、冗談を交えながらお話いただきました。

お釈迦様は、35才で悟ったと言われており、当時の姿が以下の像であるとのことです。医学が今ほど発達していない2500年前であっても、血管の位置などが正確に刻まれているとのこと。つまり、こういう姿で修行された方が存在したことは間違いないそうです。

飲食は、ほとんど取らずに自分の身体を酷使して、酷使抜いたところに何かあるのではないかと思い、7年間の苦行と呼ばれる修行をされたとのことです。

松久保師は、そんなお釈迦様の聖地であるインドに明日から行かれるとのことでした。

仏教は、宗教や哲学だけではない

お寺やお坊さんに、みなさんはどんなイメージを持たれますか?
殆どの人が、お葬式のイメージがあり、「死」の印象を持っている。松久保師は、この格好で電車に乗ると、人がさーっと引いていくとおっしゃっていました。それだけ、お坊さんに対して、非日常の印象を、私たちは持っているかもしれません。

しかし、本来お寺は、生きている方が学ぶ場であった。仏教には、「六宗」と言われ「三論宗」「成実宗」「法相宗」「倶舎宗」「華厳宗」「律宗」があり、これが、基礎科目のようなものになる。それぞれの専門科目のようなものとして、禅宗や浄土真宗、天台・真言宗などができていったとのことです。

また、その基礎科目となる教えの中には、数学であり、物理学、地理学が含まれており、人々の生活に取り入れられてきたそうです。奈良時代の「三蔵」の称号があるお坊さんは、皆この「六宗」を全て勉強していたとのこと。

お経は、8万4千種類あると言われており、お釈迦様が、悟りを開いてから亡くなるまでの45年間で弟子たちに語り伝えてきた話をまとめたものになります。また、お釈迦様は、書物を一切残していないため、教えを聞いた弟子たちが、お釈迦様が亡くなった後、文字にしていったそうです。1つの話をお経にするまでに、弟子たちの間で編集会議のようなものを開き、焦点をすり合わせて作ったとのことです。

膨大な時間と、人々の力が注がれて現代にも残るお経。そこには、宗教や哲学だけではなく、数学や物理学、地理学や建築学、医学までもが含まれているからこそ、日本に入ってきたと松久保師はおっしゃっていました。

最初に悟ったと言われる「四諦」「八正道」「十二因縁」とは?

お釈迦様が最初に説かれたのが「四諦」と呼ばれる教えです。
四諦の「諦」とは、「あきらめ」ではなく、「真理」と言う意味だそうです。よって、四諦とは、「四つの真理」という意味になります。

一.「苦諦」:人生は「苦」であるという真理
二.「集諦」:苦の原因は、「割愛」にあるという真理
三.「滅諦」:その苦を滅した境地が「悟り」であるという真理
四.「道諦」:その悟りに到達する方法は「八正道」の実践であるという真理

以上の四つが四諦です。そのため「苦集滅道」と言われることもあります。

お釈迦様は、まず人生は苦であり(苦諦)、その苦の原因は一つではなく複数あるとし(集諦)、この原因を滅し、あるいはコントロールすれば、苦に悩まされない境地を得ることができるとし(滅諦)、さらに、この苦を滅する修行方法は、八正道の実践である(道諦)と説かれたのです。

四つ目の道諦にある「八正道」とは、より具体的に実践方法を表したもので、以下の8つとなります。

一.「正見」:正しいものの見方
二.「正思」:正しい思考
三.「正語」:いつわりのない言葉
四.「正業」:正しい行為
五.「正命」:正しい仕事
六.「正精進」:正しい努力
七.「正念」:正しい集中力
八.「正定」:正しい精神統一

さらに、苦しみや悩みの原因を十二の項目によって解釈したのが、以下「十二因縁」と言われるものです。

無明→行→識→名色→六処→触→受→愛→取→有→生→老死→(無明に繋がる)

母親のお腹に宿る前から、死までを表しているのですが、ものごとが生ずるには、必ず原因(因)と条件(縁)があることを細かく表しています。

なかなか奥深い話ですが、私たちが今ここに存在していること自体、因と縁があったことを表しているし、それを避けて生きることはできないなと感じました。

お釈迦様の言う「無我」とは?

お釈迦様の教えには「無我」というものがあます。全てのものには永遠不滅の実在もないと説いていますが、薬師寺、法相宗の教えのもとになる「唯識(ゆいしき)」は、様々なニュアンスの「心」があると説いています。「ない(無)のではない」つまり、ゼロではないということ。

例えば、右手を30℃のお湯につけ、左手を50℃のお湯につけて、それを同時に抜いて、40℃のお湯につけたらどう感じるのか。右手は暖かさを左手は冷たさを感じる。40℃のお湯の中には、冷たさも暖かさも両方が確かにある。私たちが生きている中で、苦しさもあるし、つらさもある。それを抱えながら、今も歩いてる自分は何なんだ?と。唯識は、具体性があり現実的な教えてであるとのことです。

また、ある人が悟ったら現実の生活はつまらないのではないかと。冷たさを感じるから、暖かさがわかる、苦労を知らずして楽の味なしともよく言われる。お釈迦様の教えが難しいと言われるのは、「無い」ところから始まっているから。無いということの証明はできない。しかし、あったことの証明はできる。あったところからスタートしながら、いや無いという方が、究極的には幸せであるというところに、お釈迦様は立っておられる。

日々、冷たいやら暖かいやら、つらい、苦しいと感じて生きているという現実の生活と照らし合わせた教えから入るか、無いという超人的な高みから入った教えかの違いはあるが、最後の最後は、唯識の教えでも「滅智(めっち)」と呼ばれるものがある。教えを全部滅することができたら、悟れると言われている(笑)。

般若心経にも、何度も「空」「無」という文字が出てきます。しかし、まったく無いには、なかなかできない。人間をパソコンに例えると、「八識」の末那識(まなしき)がCPUで、阿頼耶識(あらやしき)がハードディスクのようなもの。あらゆる経験や体験が記憶されたハードディスク(阿頼耶識)は、なかなか消えないとのことです。

※参考「八識(はっしき)」唯識宗で、八つの対象を認識する作用。
1.眼識(げんしき)
2.耳識(にしき)
3.鼻識(びしき)
4.舌識(ぜっしき)
5.身識(しんしき)
6.意識(いしき)
7.末那識(まなしき)
8.阿頼耶識(あらやしき)

最後に

今回も、仏教の奥深い貴重なお話をたくさんお伺いすることができました。お釈迦様のように悟れたら楽に生きられるのかなと、安直に考えたこともありましたが、そう簡単にはいかないものですね。苦があるから楽が感じられるように、物事にある両方の側面を感じ受け入れながら、日々少しでも「滅智」に向かう意識を持てたらなと思いました。

今回も、あっという間の2時間でした。仏教について、本格的に深く学べる貴重な機会となりました。クミシュランを始め、松久保師やご参加者のみなさんとのご縁に感謝です。
長文、乱筆乱文をお許し下さい。

次回、仏教ゼミ第3回の開催は、2017年12月20日(水)となります。

奈良薬師寺・松久保師に直接教えを乞う「仏教」とは何か?
-今を生きるヒントが得られる仏教ゼミ 全5回-

※第1回目の開催レポートはこちら

作成者:和の大学 事務局 伊藤律子

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