「働き方改革」を邪魔する日本人の労働観

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今年の流行語大賞なのか? と思えるほど日々目にする「働き方改革」という言葉。

私自身、当初は電通問題等もあり、とにかく残業時間を短くしよう!早く帰ろう!そのために対策を打たないといけない。それが働き方改革だと思っていました。

一方、日本人の労働観の根底には、「働くことは傍(はた)を楽(らく)にすること」というものがあります。「はた」というのは他者のこと。つまり、他者の負担を軽くしてあげる、楽にしてあげる、という意味です。

他者を楽にするために、働く。そのための働く時間を短くせよ。

ん?どういうことですかね?
というわけで、本日は「働き方改革」と「日本人の労働観」について考えていきたいと思います。

働き方改革を今一度整理する

働き方改革は、2016年8月3日 第3次安倍第2次改造内閣が発足し、スタートしました。
安部首相の言葉を一部引用すると、

長時間労働を自慢する社会を変えていく。かつての「モーレツ社員」、そういう考え方自体が否定される。
そういう日本にしていきたいと考えている次第であります。人々が人生を豊かに生きていく。同時に企業の生産性も上がっていく。日本がその中で輝いていく。日本で暮らすことが素晴らしい、そう思ってもらえるような、働く人々の考え方を中心にした「働き方改革」をしっかりと進めていきたいと思います。

ということです。
それでは、なぜ、今「働き方改革」が必要なのか?
大きくは、下記3つが背景だといわれています。

・日本の少子高齢化、中でも生産年齢人口が継続的に減少し続けている
・長時間労働がなかなか改善されていないことに対する対策が必要
・ITの技術革新によるグローバル化進行による人種、文化のダイバーシティ化

つまり、少子高齢化が進む中、一人一人が生産性をあげ、長時間労働を是正し、海外の人材ともコラボレーションしながら仕事を進めていく。という感じですかね。

必要性は理解できますし、やらないといけないとも思いますが、実現していくためは、冒頭に少し述べましたが、日本人の労働観に関しても触れる必要があると思います。

日本人にとって働くとは何か?

日本人の労働観を考える前に、西欧人の労働観からみていきましょう。

西欧人にとって労働とは神からの罰となります。
ユダヤ・キリスト教の聖典である旧約聖書に、楽園で果実を食べ、遊んで暮らしていたアダムとイブが〈善悪を知る木の実〉を食べてしまったがために、男に労働、女に産みの苦しみという 罰 を与えたとあります。

つまり人間は、本当は働かなくてもよかったのだけれども、アダムとイブが原罪を犯したために、額に汗して働かなければならなくなったと考えです。これが西欧人の労働観です。

一方、日本人はどうでしょうか?
日本人は昔から「世のため、人のため」「死ぬまで世の中のお役に立ちたい」という言葉をよく言います。早く引退して悠々自適にやりたいという人は意外に少ない。日本人は働くということを、「生活のための手段」という感覚だけではなく、違う次元からも見つめてきました。

これは恐らく弥生文化で培われたのだと思います。古代の祝詞の中に「よさし」という言葉があります。「委託」という意味です。神様から稲を作る仕事を「よさし」された、つまり農業をやることによって神様に仕えているのだという考えです。

つまり、日本人にとって労働するということは神の祝福であり、神事そのものともいえる尊い営みなのです。極端にいうと一日24時間働いて神に仕えたほうがいい。
というものが日本人のそもそもの労働観なのです。

働き方改革の目指す先は?

労働観から考えると、日本人の生産性が西欧よりも低いのも、長時間労働がなかなかなくならないのも仕方ないんですよね。

だから諦めてもっと仕事を楽しみましょう。

とは言わないのですが、ただ歴史や価値観を踏まえた上で、日本人にあった働き方を考える必要はあるのだと思います。

「日本人はそもそも働くのが好きである。」という前提に立ち、働くことを遠ざけるのではなく、本来日本人が得意としている、「世のため、人のため」の考え方、利他の精神、働く目的、志。
こういうものに一人ひとりが向き合っていくことが必要なのではないでしょうか。
そして働くことを楽しいと思えることこそ、結果的に、働き方改革に繋がっていくのだと思います。

「早く帰るための働き方改革」

ではなく、

「自分らしく楽しく働くための働き方改革」

そのような機会になるといいなぁと心から思います。

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