【和をたしなむ、和を遊ぶ 3】和の世界を持つことで仕事の世界も広がっていく

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和の達人・近藤俊太郎さんは、仕事ではIT事業で常に先進的なことをしかけながら、私生活では茶道という伝統文化に浸る。
このふたつを、近藤さんはどうすみ分け、どう融合させているのだろうか。
和の大学株式会社 代表取締役社長の上林周平の3回目のインタビューは、「和文化とビジネスの関係性」をテーマに繰り広げられていく。

パーソナルプロジェクトはとても大切

(上林)茶道は趣味、と言いますが、ビジネスシーンに茶道は何か影響を与えているのえはないでしょうか。

(近藤) 商談では、圧倒的にネタで負けないですね(笑)。
今まで僕のことを、仕事の側面でしか知らない人に「お茶やってるんですよ」と言っただけで、「マジですか!? なんかおもしろそうですね」って返ってくる。
興味を持ってもらえます。IT業界とお茶、というギャップがあるからよけいに、コンテンツ・アドバンテージがありますよね(笑)。

うちの社長もそのへんを利用していまして、打ち合わせにで同行すると、「こいつ、お茶やってるんですよ」なんて雑談のネタにしています。
外国の方がお相手だと、「ちょっと今お茶たててお出しして」などということも。

海外出張のときは、お茶道具を持っていき、ふるまうと、自分のプレステージが上がります(笑)。「オーッ!」となりますからね。

モテますね(笑)

それは、もう(笑)。

ビジネスマンとしてもアドバンテージがあるわけですけれど、それにプラス和文化の世界を持っているということで、人間的な深さを感じさせ、それがビジネスも深いのだろうと思われるということではないでしょうか。

想像もしていませんでしたが、結果的にそうかもしれません。
学生時代、教授が毎月、社会人を呼んで講座をするゼミに入っていました。あるとき、外資系のコンサルティングファームにいる人が来たので、どんな話かと思っていたら、「今日は堅苦しい話はやめよう」と。
そして話し始めたのが、「これからの社会で豊な人間として生きるためには、“パーソナルプロジェクト”を持つということだ」と。

学生にしてみれば、毎日が遊びのような、“パーソナルプロジェクト”なわけですから、「そんなこと言われても、僕たち毎日パーソナルです」としか言いようがない。
でも、その方は「働き始めたら、仕事して眠るだけの生活になりがちだ。そんな中でもパーソナルプロジェクトを持つ意識が大切なのだ」と。

実際、社会人になって働いてみると、本当に忙しかった。僕の場合、残業200時間、土日休みほとんどなし、という状態でした。体力的にも精神的にも豊かさとは程遠い状況の中で、その方の言葉が初めて身に染みたのです。

それで、身動きがとれない状態でもなんとか、パーソナルプロジェクトを作ろうと考えました。
もともと本を読むのが好きで、時間があれば年間500冊くらい読んでいたので、「1年間に本100冊、映画100本、音楽100タイトル」を制覇しようと決めました。
映画はDVDで観てもいいし、時間の制約がないから、自分に向いていると思ったのです。

この目標を持ってから、「この仕事は大変だけれど、終わったら好きな映画を観よう」「寝る前にあの音楽を聴いて寝よう」などと、仕事を乗り越える理由ができた。気持ち的にもすごく豊かになったなぁと実感しました。

また、お茶をやるようになってからは、お茶の関係でまったく違う人脈ができて、それもまた楽しかったですね。10年続けていたら、だんだんお茶の人脈とビジネスの人脈が融合してきたりして、結果的に相乗効果にもなりました。

茶道を趣味にしておくことで豊かさが担保できる

茶道をやることで、心が豊かだと感じる瞬間が増えるのですね。

引き出しが増えて来るのもうれしいですよ。企画職なので、常に新しいことを考えなくてはいけないし、常にプロジェクトを組むことを考えているわけです。
お茶会は究極の企画なので、お茶会を開くことそのものが、仕事のコーディネートに役立っていますね。

どんな方々とどんな料理やお茶やお菓子を楽しみ、どんな器でどうお出しするか。床の間の掛け軸や花はどうするか――。

ネタは違いますが、企画する、という点では同じです。そういえば過去に、「お茶は企画力」というセミナーを3回やったこともありましたね。
茶道は「道」なので、制約もあるのですが、それを加味しながらやるというのも、現実の仕事に近い。問題を起こさないように上手にルールを壊して、それでいて皆さんに気持ちよく満足してもらう。これが成功すれば、プロジェクトの成功につながります。

お茶を極めれば、ビジネスもうまくいきますね。

そうです。しかし、僕は茶道をビジネスでないところに置いておこうと決めています。
よく、「いつ仕事やめて茶道に専念するの?」みたいに言われますが、茶道を仕事にはしません。仕事にしたら、断れなくなる。それでは、楽しみをひとつ失ってしまう気がして。

究極な話、「100万円あげるからこれやって」と言われても、自分の考えに合わなければ、趣味なら断わることができるじゃないですか。
逆に、おもしろそうなことを持ちかけられたら、「楽しそうだね、うーん今回だけだよ」とか言いながら、融通をきかすことだってできる。

それが、趣味の楽しさですし、さきほど言った豊かさにつながっていると思うのです。

次回のインタビュー最終回は、「お茶を続けていくこと」について伺います。

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