【和をたしなむ、和を遊ぶ 1】茶道は和の総合芸術だ ~健康に役立ち、心も満ち足りるもの〜

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仕事や家事にばかり時間を取られ、ストレスが増しているなら、生き方そのものを変えてみてはいかがだろうか。
ここでご紹介する近藤俊太郎さんはIT業界のエキスパートでありながら、茶人としての顔を持つ。仕事と和の趣味を暮らしの中でどう融合させているのか、それが自身の仕事や私生活にどんな好影響を与えるのか。
和の大学株式会社 代表取締役社長の上林周平がインタビューする。

近藤俊太郎(Shuntaro  Kondo)

1979年 広島県福山市生まれ。幼少の頃はアメリカで過ごし、帰国後、生活の中でお茶を飲むようになる。中央大学卒業後、インターネット事業に携わる一方で、2005年から茶道を始める。2009年に「日中友好使節団(外務省 主催)」として中国各地での文化交流プログラムに参加したことをきっかけに、若い世代の人々が茶道に触れるきっかけを作る活動として「茶団法人アバンギャルド茶会」を立ち上げる。自ら教室を主宰するほか、京都大学の宇宙研究者とコラボレーション茶会「宇宙茶会」や若手アーティストと一緒に道具を作る「宇宙十職」「丿貫(へちかん)プロジェクト」を主催。また、百貨店やアートギャラリーでの現代茶道具の企画展プロデュースも手がける。

上林周平(Shuhei Kambayashi)
和の大学 株式会社 代表取締役社長

大阪大学人間科学部卒業。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。
官公庁向けのBPRコンサルティング、独立行政法人の民営化戦略立案、大規模システム開発・導入プロジェクトなどに従事。
2002年、シェイク入社。企業研修事業の立ち上げを実施。その後、商品開発責任者として、新入社員~管理職までの研修プログラム開発に従事。2003年より、新入社員~管理職に対する研修ファシリテーターも務める。2009年より、経営企画部門、管理部門の統括を担当。2014年より、Leadership Development事業の統括最終責任者。2015年より、代表取締役副社長に就任。
2017年、和の大学 株式会社を設立。
米国CCE.Inc.認定 キャリアカウンセラー

ただお茶をたてるだけではない。茶道は日本の総合芸術

(上林)近藤さんは社会人になってからお茶を学び、茶道の講師になったのですね。そのきっかけやルーツはどこにあるのでしょうか。

(近藤) 僕は小学校に上がるまでアメリカに住んでいまして、当地ではジャンキーなお菓子やドリンクを好み、テレビ漬けの毎日でした。
帰国して小学校に通うようになると、両親が「これではいけない」と思ったようで、テレビのない生活を始め、ジュースも飲まない生活になりました。
僕の飲み物は麦茶と水になり、少し大きくなると急須で煎茶を飲むようになったのです。

大人になっても、コーヒーが飲めないので、自然とお茶に親しむようになりました。
社会人になってから、なんとなく通信教育で日本茶インストラクターの資格を取ったのも、お茶が好きだったからです。
そのインストラクターの講座の前段に、「茶の歴史とは」「茶道とは」という説明があり、茶道に興味を持った。これが日本文化の髄というものか、と思いました。

後に、転職して京都と大阪の間ぐらいのところに住むことになったとき、本格的に日本文化に目覚め、「ただ知るだけでなく、実際にやってみよう」と思い立ちました。
当時は茶道に特化せず、さまざまな「道」がつく稽古事に顔を出し始めたのです。

剣道、合気道、華道、書道……、とにかく日本文化を吸収できることがしたくて、週末ごとにさまざまな教室に顔を出し、単発のレッスンを受けて、模索しました。
そんな中で「茶道が一番しっくりくる」という感覚を持ちました。

何が「しっくり」の理由ですか?

茶道は、ただお茶をたてて飲んで、ということだけではなくて、茶室でお茶を飲む、その空間自体も整えるわけです。
床の間に書を飾り、花を飾る。お菓子にも謂れがあり、どのような茶碗がよいのかなど器も選ぶ。
もてなす人や季節に合わせ、無限の組み合わせがあり、個別の文化を表現できる。茶道は日本の総合芸術、多面性と多様性があるのだ、としみじみ悟ったのです。

その世界観に圧倒されて、裏千家の先生について本格的に習い始めました。

なるほど、総合的な和の世界だということですね。

そうです。ですから興味は尽きなかった。ところが、茶道を始めて1年半で東京に転職することになってしまって。
関西でのお稽古も終わりだ、ということになり、先生にご挨拶をしたところ、先生はこう言いました。

「あなたが今まで習ってきたのはほんのさわりだけ。お茶の世界はもっと奥深いのよ。正式の茶事では、懐石料理を食べてお酒を飲んで、お茶を飲んで、お菓子を食べて4時間ぐらいかけて楽しむの。最後にそれを経験してはどうかしら」と言ってくださったのです。

そして、もてなしてくれたその茶事が、すばらしかった。料理も器も季節を映し、すべてが文化の髄を表現し、まさに和の総合芸術でした。
こんなにおもしろく、奥深いものなのかと感動しました。先生に「東京に行ってもお茶は続けてね」と言われるまでもなく、東京でも裏千家の先生の門戸をたたき、お稽古を継続し、教える立場になった今も習っています。

茶道を始めれば身体の調子がよくなり、心も整う

茶道を始めてから、もう13年目ですね。何か日常生活における効果はありましたか?

一番わかりやすい効果で言うと、身体の調子がよくなりました。
ここ7年ほど、毎朝抹茶を飲んでいるのですが、本当に風邪をひかないのです。
うちには中学1年の息子がいて、3年連続でインフルエンザになったのですが、同じ家に暮らしていて、僕は予防注射もせず、1回もうつらなかった。

例年、立ち上がれないほどのひどい風邪をひくのに、いつの間にか1年に一度もひかなくなった。
どうもお茶の成分のカテキンが、すばらしい抗菌効果があるらしいのです。煎茶5杯を飲めば死亡リスクが15%減るという学会データを見たことがあります。

煎茶5杯分のカテキンの量は、抹茶1杯分程度に相当するので、毎日抹茶を飲むことが、健康に役立っているのではないかと思っています。
それに、茶道は自分と向き合うことで心の健康を取り戻すことができる。
まさに、今流行りのマインドフルネスを体現していると思うのです。

お茶は有効成分が突出しているスーパーフードであり、ストレスを軽減し、自分自身を見つめる気持ちにしてくれる癒しと悟りの要素があるように思います。
フィジカルにもメンタルにも支えてくれる。改めてすごいものだ、と感じています。

次回は茶道の文化について、さらに詳しく伺います。

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