ビジネスパーソンにも役立つ「禅の教え」①

みなさんは、「禅」と聞いて、どのようなことを思い浮かべますでしょうか?

スティーブ・ジョブズが禅を実践していたことから、世界的にも知られるようになった「禅」。世界のトップリーダーを魅了した「禅」には、ビジネスにも役立つヒントが隠されています。

今回は、「ビジネスZEN入門」という妙心寺退蔵院副住職の松山大耕さんが書いた本を参考に、「禅」について触れてみたいと思います。

なぜ、今禅がブームなのか?

よく豊かさには、「物質的豊かさ」と「精神的豊かさ」があると言われます。不景気とは言え、技術革新が進む中、どんどん便利な世の中になり、物質的には不自由なく手に入る時代となりました。

一方、日本では心の病を抱える人は増加傾向にあります。物質的な豊かさも大事ですが、それだけでは人の心は満たされず、精神的豊かさ求めている人が増えていることが、禅ブームの背景の一つと考えられます。

また、他人と同じだと安心する傾向がある日本においても、個性の尊重や多様性を受け入れる風潮が高まり、自分らしさとは何か?自分にとっての幸せとは何か?を考える機会が増えたようにも思います。

世界のトップを魅了した「禅」とはどんな思想なのか?

「ビジネスZEN入門」の著書の中では、はじめに以下のようなお断りがあります。

仏教は、「ゲイン」ではなく「ルーズ」である
必ず知っておいていただきたいのは、仏教を信じたからといって、すぐに何かが得られるわけではない、ということです。仏教、特に禅の教えは何かを得るための手段ではありません。むしろ、失うためのものなのです。
つまり、何かを新たに手に入れるのではなく、むしろ今まで積んできたものを崩していくために、経を唱えて坐禅をする。失うとは、余計なものを削ぎ落とすことであり、それによってもっとも大切な本質に目を向けるということなのである。

私のように、ご利益を期待するようなタイプの人にとっては、結構衝撃ではないでしょうか? 笑

驚いた一方で、なんだかとてもしっくり来るというか、なるほどという納得感もありました。
と言うのも、物事の本質を見極めていくには、捨てることやそぎ落とす、執着を手放すことが大事だ、等とよく耳にしていたからです。また、スティーブ・ジョブズが禅に惹かれたのも、「余計なものをなくし、本質と向き合う」という思想であり、それがiPhoneなどアップル製品のシンプルで美しいデザインの中に息づいていると聞いていたからかもしれません。

変化が激しく膨大な情報に溢れ、また、正解がない時代と言われる中、本当に大事なことは何なのか、何を捨てればいいのか、その見極め方や判断軸を持つこと、決断することには勇気がいるし、難しいと感じている人も多いのではないでしょうか。

では、禅を実践するとは、どういうことなのでしょうか?

禅は、長いスパンで必ずビジネスに役立つ

僧侶は、修行の中でお寺の掃除や坐禅を組み、老師との禅問答を解き、ハードな非日常の生活に身を置き、日々禅を実践していくそうです。私たちには、そのような修行の機会はないですが、著書の中では、ビジネスパーソン向けに、日々に役立つ禅の教えがいくつか紹介されています。

リーダーシップはどうやって身につけるか

株式会社シェイクで以前大企業の管理職300名を対象に行った調査で、今欲しいと思っている能力は何ですか(選択式)の問いで、「メンバーや周りを動かすリーダーシップ」が第1位に上がっていました。https://shake.co.jp/seminar/report/20151001.html

組織に属している人、特に管理職ともなれば、リーダーシップを身に着けたいと思う人が多いのは当然のことでしょう。組織の中で何か問題に直面した際に、トップが適切なリーダーシップを発揮できるか否か、かつ周りがついてくるかどうかは、その人のリーダーシップの有無にかかっています。著書の中では、どうずればリーダーシップが身につくのか、どのような人について行くのかについて以下のように記しています。

「おれがリーダーシップを取るんだ!」と意気込んだところで身につくものではない。
みながついてくるリーダーとは、「当たり前のことをきちんとできる人」なのです。
みんなが嫌がることをまず自分が率先してやる。一度や二度のパフォーマンスであってはいけません。日頃からそういう行為を積み重ねていくことが大切です。

自分がどのようなタイプの人についていきたいかを考えると、とても納得がいきますし、日本人は特に、このような日々のあり方やスタンスを大切にし、よく見ているものだなあと感じます。

まとめ

“仏教とは「ゲイン」ではなく「ルーズ」である”
何かを得るために、〇〇をやるのではなく、目の前のことに真摯に向き合い、当たり前のことを当たり前にやる。そして、その結果、〇〇になるといった考え方が、禅であるということです。

何かを得ることを目的に、〇〇をやるということも禅は否定しません。しかし、その目的が世の中や他の人たちのためであることが前提となります。自分の富や名誉を得るためだとしたら、それは「執着」になるという考えです。執着をすべて捨て去った時に、本質が見えてくるというのが禅の教えです。

禅の本質は、「その行動の先に何があるかはわからないが、何かがあると信じて釈迦と同じように苦行を積む」という点にあり、心構え・人としてのあり方を意味するのです。

禅の教えは、即効性があるものではありませんが、ビジネスをすること、働くということを長いスパンで考えたときに、禅の考え方を身に着けることは必ず役立つはずです。

長くなりましたので、また次回、ビジネスパーソンに役立つ禅の教え②をお伝えします。

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