なぜ、部下の育成がうまくいかないのか?

昨今、ダイバーシティ化が加速する中、ますます部下の育成の難易度が高まってきてます。
また、先日、弊社で約300名の管理職に調査をしたところ、約50%の方が現状の悩みの一番は「部下一人ひとりの育成」と答えています。

なぜ、部下の育成がうまくいかないのでしょうか?
色々な要因が考えられる中、本日は「組織の形態」から考えていきたいと思います。

部下の育成がうまくいかないのは「ピラミッド型組織」の弊害?

いきなりですが、あなたの組織は何型組織ですか?
また、ピラミッド型組織と聞いて、どんなイメージがありますか?

・指揮命令系統がはっきりしている
・責任者が明確である
・スピード感がある決定が可能

このようなイメージでしょうか。

実際、ピラミッド型組織は欧米の労働観が生んだ究極の組織と呼ばれています。
欧米人の労働観とは、仕事は効率よく済ませて、残りの時間を自由な自分の時間として過ごしたいというものです。効率よく仕事を済ませるためには、労働者はロボットないしは奴隷になることが必要で、それには命令系統を確立した組織が一番いいわけです。
ここから「ピラミッド型組織」の発想が生まれました。

「ピラミッド型組織」の典型は軍隊です。
構成員は同質ではなく、命令者と非命令者、管理職と被管理職が判然と区別されています。

つまり、ココが重要なのですが、本来ピラミッド型組織においては、平社員は考えてはいけないのです。

ピラミッド型組織にも関わらず、部下に「自ら考えろ」「自分の意思を持て」というマネジャー。
これでは部下の育成はうまくいきません。

ピラミッド型組織で部下の育成をうまくいかせたい場合は、「私の背中をみろ」「黙って私の真似をしろ」と自分のコピーをつくるしかないのです。

「ピラミッド型組織」はいつ日本に導入されたのか?

明治維新までさかのぼりますが、当時このままでは日本も欧米列強の植民地にされる状況に直面していた明治政府は、その危機的な状況を乗り切るために、いわゆる近代化を達成することが火急の課題でした。
そこで日本は、合理的な欧米型組織をまねた近代的軍隊を大慌てでつくりました。

また、同時に、国の経済を豊かにするために、近代化・工業化を強力に推進しました。
そのためには、社会のあらゆる組織を軍隊型・「ピラミッド型に改変することが不可欠だったのです。

ピラミッド型組織が明治維新のタイミングで導入されたとするならば、それ以前の日本の組織はどのようなものだったのでしょうか?

日本の伝統的な組織形態は「まんだら組織」

『仏教流 上司学』を書いた思想家 ひろ さちや先生は日本の伝統的な組織は「まんだら組織」であると言っております。
「まんだら組織」とは、「家族主義」の伝統に基づいた組織形態であり、みんなで協力してことを運ぶという御神輿的な側面を持ちます。

御神輿的な側面とは、みんなで御神輿を担いでいる姿をイメージしていただくと、おわかりになるのではないでしょうか。
御神輿はみんなでわっしょい、わっしょいと担いでいるから面白いのです。御神輿を担いでいる様子をよく観察すると、すぐに気がつくのですが、どさくさに紛れて反対方向に引っ張ったり、ぶら下がったりしているものがいます。これも御神輿の楽しさ、面白さだと思います。

しかし、御神輿をまるでロボットのように規則正しく動かしていては、御神輿の持つ醍醐味が失われます。笛を合図で持ち上げて、真っ直ぐ走り、曲がり角に来れば直角に曲がって走っていくだけだったら、面白いはずがありません。

また、「まんだら組織」の特徴は、マネジャーに絶対服従の組織ではないということです。
確かにリーダーはいますが、御神輿をみているとわかるように、リーダーは複数存在します。大きなうちわを持って先頭に立つおじさんが4、5人いるわけです。それも、てんでばらばらな方法で「わっしょい」という掛け声をあげます。

しかし、それとなく御神輿は一つの方向に向かっていくのです。同様に、「まんだら組織」の職場も、社員一人ひとりはばらばらなことをやっているようで、全体としては一つの方向性を持って進んでいます。それも楽しみながら。

つまり、組織の一員が全人格的に参画し、しかも各人の意思において労働をする。
これこそ日本の伝統的な組織形態、「まんだら組織」ということになります。

部下の育成に必要なものは?

さて、ここまでピラミッド型組織、まんだら組織と2つの組織形態をみてきましたが、どちらの組織が育成がうまくいくのでしょうか。

実は、どちらの組織形態が適しているというものではありません。
自身のコピーをつくりたければ、「ピラミッド型組織」ですし、放置して、その人らしく成長して欲しければ「まんだら組織」です。

部下の育成に困っている方は、「ピラミッド型組織」と「まんだら組織」をごっちゃにし、都合の良いタイミングに都合の良い方を部下におしつけている印象です。

部下の育成において本当に大事なのは、「どんな組織形態なのか?」ではなく、

「そもそもどんな組織をつくりたいのか?」
「そこにはどんな人材が必要なのか?」

をマネジャー自身が描くことです。
「ピラミッド型組織」と「まんだら組織」の違いは、実は組織の型ではなくマネジャーの意識のあり方だけなのです。

さて、あなたの組織は何型組織ですか?

参考資料 ひろさちやの仏教流上司学

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