職場での人間関係を良くするために使える3つの和文化エッセンス

職場での人間関係が大変!? でも、それって当然のこと

筆者自身、企業向けに研修プログラムなどでの人材育成に20年近く従事していることもあり、仕事に慣れてきたころ、例えば20代後半から40歳前後までの方に会うことがとても多いです。
そこで、今の状況や問題意識を聞くことが多いのですが、当たり前なのかもしれないですが、問題が全くない!という人はいません。

・上司の言い分と部下の状況に違いがあって挟まれて大変
・最近の若者は、自分のころと違いすぎて、どう接して良いかわからない
・上司が気分屋で言っていることがすぐ変わる
・他部署との調整が大変で、謝罪や調整ばかりで日々が終わる
・残業規制やコンプライアンスなど締め付けが多くて、気楽なコミュニケーションができない

など。

仕事に慣れ、できるようになったからこそ、多くのことが見え、人間関係に何等かの苦しみを覚えていることが多いです。
では、なぜそれが起こってしまうのでしょうか。
それは、、、、実は、当然のことでもあります。

職場で働く上で、階層が上がり、仕事の難易度が上がると、異なる矛盾をマネジメントすることが求められるからです。

・今の成果と、未来の投資
・業績結果と、部下のモチベーション
・生産性向上と、細かな管理業務

1つの絶対解を求めるだけならば、論理的に考えて、答えを導けばよいです。しかし、経験が増えてくると、そのような1つの解というような仕事は少なくなります。
そのような中で、こういった矛盾をマネジメントする力を鍛えないとしんどくなります。
では、それはどういった力なのでしょうか。

職場の人間関係において起こる矛盾に対して、何をすべきか

職場で働く上で難しくなる理由としては、先ほどの通り、どれだけ論理的に追求しても、絶対解が無いことが多いことにあります。
そのような中で、論理的思考力や問題発見解決能力など、それだけを極めたとしても、解決するのは難しいでしょう。
特に人間は、感情の生き物であり、論理的には筋が通っていても、うまくいかないことが多いです。

そういった複雑であり、矛盾もあるような状況においては、分解して特定していくような発想だけではなく、むしろ融合していくような発想が大事になります。それが、今まで日本が文化として築いてきたことにあります。

職場の人間関係をよくする力を高めるために、茶道、華道、書道、禅、歌舞伎・・・など、そういったところに流れる3つのエッセンスを、ご紹介していきたいと思います。

1.今に集中し、現状をありのままに見る

まずは、今に集中し、現状をありのままに見る力です。
「不安とは、過去の後悔と未来の心配が大半」とよく言われます。
「今」には、不安はほとんどない。一方で、過去や未来に固執しすぎることで、不安を助長することはありませんか。

最近、日本の禅のエッセンスを活かした「マインドフルネス」という考え方が流行っています。呼吸を調え、瞑想を行うことで、今に集中するものです。
またそこでは、今に集中することで、物事を偏見なく見ることが大事だと言われています。

コップに水が半分入っていた時に、同じものを見ても「水が半分も入っている」という人もいれば、「水が半分しか入っていない」という人もいます。
現状起こっている人間関係も、どちらか一方から偏見をもって見ている可能性があります。
現状をありのままに見ると、今までとは違うように見えてくるかもしれませんね。

このような、日本古来から培われている「今に集中し、現状をありのままに見る力」を高めることが、職場の人間関係を良くすることにつながるでしょう。

2.一方的ではなく、ともに作り上げる意識を持つ

東京オリンピック招致の最終プレゼンテーションを覚えていますでしょうか。

「お・も・て・な・し」

これを出すところに、日本人らしさがここにあると伝えているようなものです。

「おもてなし」とは、Wikipediaでは、「心のこもった待遇のこと。顧客に対して心をこめて歓待や接待やサービスをすることを言う。「もてなし」に「お」をつけて、丁寧にした言い方である」とされています。

では、通常のサービスとは何が違うのかと問われるとどう答えますでしょうか。
それは、「おもてなし」とは送り手だけが努力するサービスとは違い、受け手が送り手の気遣いや心配りを感じることで成り立つと言われています。
これは、茶道にある「主客一体」という考え方と同じです。
「主客分離」を前提とした欧米的な「サービス」の精神とは異なる「主客一体」の精神がこの国に培われてきたものでしょう。

何かをしてあげる
何かをしてもらう

だけではなく、互いに尊重し、ともに作り上げるという相互扶助の精神を持つことが、職場での人間関係を良くすることにつながるでしょう。

3.付け加えるのではなく、そぎ落とす

先日、筆者は鎌倉のお寺で座禅を行ってきましたが、そこでお坊さんから、「座禅とは心の洗濯だ」という言葉をいただきました。
日ごろ忙しい中で様々なものがつきまとう中で、一つひとつ取り外し、心をきれいにするものなのだと実感しました。

松山大耕氏の書籍「ビジネスZEN入門」では、

仏教、特に禅の教えは、何かを得るための手段ではありません。むしろ、失うためのものなのです。仏教が目指すのは「ゲイン」ではなく、「ルーズ」です。

と述べています。

または、一般的に「西洋文化を盛り込みによる足し算の美学とするなら、禅とは即ち、引き算の美学です」というセリフもよく聞かれます。

日々職場で忙しい中で、何をすべきだばかり考えていませんか。

多数のことを求める、それを完璧に成し遂げようと思うとしんどいものです。
一つ一つそぎ落としていくと、最後に残っていくものは何か。
何が一番大事なことなのかを見つける力が、それ以外に対する受け入れる度量を作り、そうすることが職場での人間関係を良くすることにつながるでしょう。

まとめ ~職場での人間関係をよくするために~

日本が培ったきた和の文化。
そこには、現在の職場における人間関係をよくするエッセンスがあります。

古きを学び、今に活かす。
改めて、活用しながら、充実した職場環境を作ってみてはいかがでしょうか。

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